地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。

2023/2/10

空調タイムス 2023年1月25日号に弊社記事が掲載されました

ENEX2023展にて
再エネ熱対応ヒートポンプの最新機種など展示

 

再エネ熱対応HPの最新機種

水-空気熱交換器、太陽熱集熱器など 遠隔監視システムも展示

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14)は地中熱をはじめ、地下水熱、温泉熱などの再生可能エネルギー熱(再エネ熱)利用に対応したヒートポンプ(HP)メーカー。地中熱利用システム(GSHP)向けには、地中熱源対応高効率HPチラー、地中熱源対応ビル用マルチシステムなどを主力製品とし、専用の特注ニーズにも対応する。各種負荷計算に対し、空調等のHPシステムの提案や自社開発のエネルギー管理システムによる運用管理支援業務にも精通している。同社は「ENEX2023」で自社単独展示ブースと地中熱利用促進協会の合同展示エリアをシェアする形で出展し、再エネ熱対応HPの最新機種や、水-空気熱交換器、ハニカム型太陽熱交換器、自社開発のクラウド型遠隔監視システムなどを展示する。

同展出展の企画立案を総括する谷藤浩二常務は「当社は業務用・産業用を含めて多様なHPを製造・販売するメーカーだが、ENEX展での展示内容に関しては、地中熱利用に適した最新型のHPや、GSHPと連携した熱源水ネットワークの構築が可能な熱交換器や集熱器などを展示する」と話す。

展示の柱は、同社が昨年販売したユニット型高効率水冷式HP「ZQスーパー(ZQS)」。空調・加熱・冷却など、多様な用途に利用できる製品で、同社従来機と本体サイズを同等にとどめながら大容量・高効率を実現した。再エネも有効利用できるHPとして提案営業を本格的に始めている。ZQSの冷媒には一般的なR410A採用機と、R410AよりGWP(地球温暖化係数)が大幅に低いR454B採用機は同社がこれまでに開発・製造してきたHPの中で最高効率に達するという。

ZQSなどの再エネ熱対応HPと接続することでハイブリッドの熱源システムを構成できる水-空気熱交換器「WA-HEX」も展示する。ファンインバーター搭載による省エネと風量コントロール、ポンプインバーター搭載による省エネと流量コントロールなど、きめこまかい制御やHPとの連動機能を備えた熱交換器。「水熱源につなぐことで空気熱源も利用できる。その逆も可能」(谷藤常務)。主な用途としては、地中熱の温度回復(ボアホール本数低減)、ダクトを接続することで工場やハウス栽培施設などでのエアハンとして利用が見込まれる。同社が製品化した地中熱・太陽熱などの多様な再エネを集放熱源とする天空熱源HPシステム「Sky Source Heart Pump」(SSHP)を構成するユニットとしても採用されている。

新商品も展示する。海外メーカー製のハニカム型太陽集熱器だ。「当社が国内で販売窓口となる集熱器で、自社企画商品として展示会では今回が初披露となる」(同)。一般的な平板タイプや真空管タイプと異なり、ハニカム型はガラス面と集熱面の間にハニカムにより空気を滞留させない層をつくるため、熱損失を最小限にとどめ、太陽幅斜熱を取り入れる効率の高い集熱器。同社は今後、SSHPのブラッシュアップなどの際に同集熱器の性能を活用するほか、自社製HPと連携させた新たなシステムの開発に生かす。顧客や取引先への外販にも対応していく考え。

エネルギー管理商材の展示では、同社が昨年開発したクラウド型遠隔監視システム「ZQクラウド」を出品する。同システムでは、HP導入後の消費電力量、加熱能力、COP(成績係数)などの運転状況や、電気料金削減効果、CO2排出量削減効果を適時遠隔で確認できる。今回の展示では「実際の導入先からのリアルタイムの稼働データをモニターで表示し、システムの概要を解説するデモンストレーションを行う」(同)という。

導入事例の紹介は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による共同研究開発「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」への参画を通じて製品化したSSHPに関して、鹿島建設との共同実証実験を兼ねた導入先となる豊田自動織機大府工場(愛知県大府市)での事例を示す。同事例では、冷暖房や給湯など多目的な熱需要に対し、低コストで高効率な再エネ熱利用に取り組み、実証施設の空調負荷の約30%を再エネ熱で賄う見込み。ブース内で進捗状況を開示し、再エネ熱利用による省エネ、省CO2効果を訴求する。

同社は2020年に環境省の補助事業「令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(コ・イノベーションによる途上国向け低炭素技術創出・普及事業)」の採択を受けた。同補助事業では、モンゴルを対象国とした「極寒冷地のための地中熱・太陽熱ハイブリッドヒートポンプ暖房システムの実証」に23年度から着手する予定。極寒冷地のウランバートル市で石炭燃焼暖房機器の代替として再エネ熱利用のHP暖房システムの実証実験を行う。同実証実験ではZQSとハニカム型太陽集熱器を使用することから、ゼネラルヒートポンプ工業は同実証事業の最新動向もパネル展示で告知する。

このほかブース内では会社パンフレットの配布等を通じて、1987年からテレワークを導入してきた働き方の多様性を認める企業風土や、自社製HPの普及を通じてSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業姿勢も発信する。