地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。

 

空調タイムス掲載記事

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|2021年11月17日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14)は1984年に冷房と給湯を同時に行う排熱回収型ヒートポンプ(HP)を先駆的に開発したメーカー。現在も業務用・産業用を問わず多様なHPを開発し、供給している。近年は排熱回収HP技術を医療業界にも展開しており、ウォーターテクノカサイ(本社・東京都小金井市)、日機装(本社・東京都渋谷区)と協業して透析病院向けに透析熱回収HPシステムの拡販に取り組む。同システムは人工透析治療の際に出る透析排熱やRO(逆浸透膜)濃縮排水の熱をRO装置の原水加温用途で利用し、省エネを実現するもの。同HPシステムの開発技術が高く評価され、3社は1020日、公益財団法人中部科学技術センター(会長=阪口正敏氏)主催の第20回(令和3年度)中部科学技術センター顕彰で「振興賞」を受賞した。

 透析治療で使用される大量の透析液は約30に電気ヒーターで加温され、治療後は熱を持ったまま捨てられる。ゼネラルヒートポンプ工業が開発し、ウォーターテクノカサイと日機装が販売面で協力する透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」は、透析排水やRO水製造時に捨てられる濃縮排水の熱を回収してRO水の原水加温用途で利用できる。これにより透析治療時間とシステムの稼働時間のアンマッチな動作がなく、季節変動、天候、昼夜などの影響を受けにくい。ゼネラルヒートポンプ工業の柴社長は「HPを採用したことで、回収できる熱量が多くなるとともに、排液と原水の熱エネルギー移動をHPで行うため、排液と原水が混ざり合う危険が全くない」と話す。

 同社が先行納入した透析病院の実測データでは、従来のRO水原水加温装置と比べ「スマートEシステム」を導入した方が電力料金を年間平均で約78%削減できた事例がある。これまでにも同システムの省エネルギー性能は対外的に高評価を得ており、3社は平成29年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した。 

20回中部科学技術センター顕彰「振興賞」を受賞した際には「実際の現場に即した透析熱回収システムを開発されたことは技術力もさることながら、高い創造性を感じる」「省エネまでなかなか目が行き届かない医療関係へのHPを導入したことは評価される」「透析業界への波及効果が大きく期待される」などの評価を得た。 

同システムのラインナップは60床用と100床用の2タイプに加え、昨年にはRO濃縮水からの排熱回収に特化した小型機種を同社は開発した。これにより従来は規模的に同製品の供給が難しかった病床数30床前後の病院に対し提案できる幅が広がった。

|2021年4月21日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2―4514)は地中熱・地下水熱、温泉熱などの再生可能エネルギー熱(再エネ熱)利用分野を強みとする業務用ヒートポンプ(HP)メーカー顧客要求に専用設計で応えるHP開発技術に加え、一次側、二次側を問わず各種負荷計算に対応し、調システムの提案やエネルギー管理システム(EMS)による運用管理支援業務も手掛ける。一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が認定する「ZEBプランナー」の登録企業でもある 

同社は国内での地中熱利用システム(GSHP)の採用案件に対し、地中熱源対応高効率HPチラー「ZQHシリーズ」地中熱源対応ビル用マルチシステム「ZPシリーズ」を主力とした製品供給長年の実績を残している2020年度もGSHP向けの案件で多数のHP納入実績を計上した。とりわけ北海道、山形県、佐賀県の官公庁物件向けには1物件当たりの総能力が150~250馬力相当の地中熱源対応HPを納入しているまたZEB関連の案件では、福島県郡山市内の民間中小企業の本社ビルZEB化に際し、能力10馬力相当の同HPを納めたという 

常に新たなHPや熱交換器の開発に意欲を柴社長は「HPシステムは今後の地球環境保護のためにも必要であり、将来の可能性に満ちた技術。今後もさらなる省エネルギーと利便性を追求し、環境価値の高い製品と熱源周辺機器をユニット化して施工しやすいパッケージシステムの開発を進め」と話す。 

近年の活動では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発研究機構(NEDO)主導の「再生可能エネルギー熱利用技術開発」プロジェクトへの参画を通じて同社は共同研究企業とのコンソーシアムにより空気熱、太陽熱、地中熱を水熱源として利用する天空熱源HP「スカイソースヒートポンプ」(SSHP)を開発。ほかにも帯水層蓄熱システムに最適な地下水直接利用型HP熱源周辺機器をユニット化した地下水熱交換ユニット開発し、これらを自社製品としてラインアップした。SSHP地下水直接利用型HPについては現在シリーズ拡充に向けた開発を継続している 

同社は自社開発のEMSも商品化しており、計装分野明るい。SII認定のエネマネ事業の実績がありHPと合わせてEMSの導入促し、エネルギー管理支援サービスの提供も自社の守備範囲としている加えて1912からはSII認定のZEBプランナー登録されZEB導入を検討するオーナーに対しZEB実現に向けた設計・施工・コンサルティングに関する相談や質問に応じる立場となった。登録事業者としての一翼担っている 


|2021年3月31日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2―4514)の2020年度はヒートポンプ(HP)技術の新たな可能性が広がった。国や地方自治体の補助事業を活用した製品開発や技術創出に取り組んだ結果、地元の中部地区では水冷式・空水冷式HPの大容量・高効率化と新冷媒対応の研究を進め、開発に成功した。国内の医療業界向けには透析熱回収HPシステムのラインアップ拡充に取り組み、RO(逆浸透膜)濃縮排水の熱回収に特化した小型機種の開発に成功。また沖縄県の離島では宿泊施設が主導する再生可能エネルギーよる淡水化および給湯HP導入計画に参画し、再エネ利用技術のモデルとしてシステムを納入した。海外事業を志向した動きでは、モンゴルで地中熱と太陽熱を組み合わせたハイブリッド暖房システムの技術創出に乗り出すことが決まった。各案件が21年度に実用化段階へと前進する公算が大きい。

 同社が20年度に地元で開発した水冷式・空水冷式HPの大容量・高効率機種は愛知県が産業空洞化に対応するため研究開発・実証実験を支援する「2020年度新あいち創造研究開発補助金」の採択を受け、岐阜大学の協力を得て研究開発を進めてきたもの。地中熱利用にも、一般産業用途にも使用できる水冷式・空水冷式の機種で、本体寸法や重量が在来機並みでありながら、容量を従来比1・5倍に大容量化し、高効率運転が可能なHPに仕上げた。大容量化で部分負荷性能が向上することに加え、冷媒を従来のR407CからR410Aに変更しても圧縮機サイズを大きくする必要がなく、R410A採用機の低コスト化を図れる。柴社長は「次世代の低GWP冷媒への切り替えが容易にできるHPとなるような設計思想も折り込んでいる」と話す。

 医療施設での人工透析治療の際に出る透析排熱やRO濃縮液排水をRO装置の原水加温に利用して省エネを実現する透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」に関しては、RO濃縮水からの熱回収に特化した小型機種を開発した。これにより従来は規模的に同製品の供給が難しかった病床数の少ない病院にも排熱利用による省エネ推進が可能となり、病床数に応じて提案の幅が広がるという。「近日中には宮城県内の病院に初号機を納入し、試運転を開始する」(柴社長)見込み。

 さらに同社は沖縄県八重山郡竹富町の宿泊施設向けに、海水を淡水化した水を熱源とする給湯HPを開発した。海水をくみ上げて地上でろ過して淡水化し、その水を利用してHPで温めたり、冷やしたりすることができる冷温同時取り出しタイプ。同HPを活用して温水や生活用水としての冷水を供給することが可能。HPを稼働させる電源として太陽光発電設備や蓄電池設備を組み合わせ、淡水化装置を含めてパッケージユニット化するという。21年度に同宿泊施設の敷地内に設置することで、災害発生時に再生可能エネを自家使用することができ、豊富な海水からの熱を間接的に給湯用熱源に生かすことのできる、離島でのレジリエンスに資する再エネ利用システムの普及に同社は貢献していく。

 

 海外向けにも技術創出の実証事業が21年度に動き出す。同社は環境省主導の「令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(コ・イノベーションによる途上国向け低炭素技術創出・普及事業)」の採択も受けた。モンゴルを対象国とした「極寒冷地のための地中熱・太陽熱ハイブリッドヒートポンプ暖房システムの実証」に取り組む。極寒冷地のウランバートル市で石炭燃焼暖房機器の代替として地中熱利用HPと太陽熱集熱器を組み合わせた地中熱・太陽熱ハイブリッドHP暖房システムの実証試験を行う。これにより石炭由来の大気汚染物質排出を無くし、CO排出量の削減につなげる考え。柴社長は「2月15日に交付決定を受けた。新型コロナの影響次第では施工計画の延期もあり得るが、9月中旬までには施工を終え、試運転できる状態にしたい」と力を込める。


|2021年1月1日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2―4514)がヒートポンプ(HP)技術の新たな可能性を貪欲に追求している。同社は2020年も国や県の補助金を活用した製品開発や技術創出に積極的に取り組んだ。また、医療施設向けの透析熱回収HPシステムのラインアップ拡充に取り組み、従来の大規模に対応した機種に加え、新たに中規模にも対応した機種の開発に成功した。足元では水冷式・空水冷式HPの大容量・高効率化と新冷媒対応の研究開発を進めている。海外事業を志向した活動では、モンゴルで地中熱と太陽熱を組み合わせた暖房システムの技術創出に乗り出す。同社は新年以降、これらの製品開発・技術創出の実証を進める方針。事業化を加速し、国内外での普及を目指す。

ゼネラルヒートポンプ工業は業務用・産業用のほか、地中熱・地下水熱・温泉熱・空気熱・下水熱等を活用して空調・給湯・工場プロセスの熱利用HPを供給する開発型メーカー。HPの販売を通して省エネルギーと地球環境保全に貢献する。同社の地元、愛知県が県内の優れたものづくり企業を認定する「愛知ブランド企業」の1社にも選出されており、空調・冷熱業界で独自技術を多々発信している。柴社長は2020年度の業況について「地中熱等の再エネ熱および排熱回収利用HPシステム関連の案件に対応する機会が多く、再エネ熱・排熱回収対応HPの出荷が好調に推移している。一部の案件では、当社が施工を手掛ける事例もあった」と話す。

また医療施設向けの透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」の採用実績も伸長しており、同社は手応えを感じているようだ。人工透析時の透析排水やRO水(逆浸透膜ろ過水)製造時の凝縮水の熱をHPで回収し、電気ヒーターの代わりに加熱するシステム。消費電力の大幅削減に資することから、透析治療を行う医療施設からの引き合いが強い。同社は、RO凝縮水利用に特化して低コスト化を実現した中規模向けの機種を2020年に開発した。新年以降、宮城県内の医療施設向けに初号機を納入するという。今後、大規模対応2機種と中規模対応1機種の3グレード展開で普及を図る考え。

ほかにもHPの研究開発を進めている案件がある。20年5月、同社は愛知県が産業空洞化に対応するため研究開発・実証実験を支援する「2020年度新あいち創造研究開発補助金」の採択を受けた。同補助事業では、中小企業を対象に公設試験研究機関や大学との連携による研究開発を支援する「トライアル型」で応募し、岐阜大学の協力を得て「再生可能エネルギー熱利用ヒートポンプの大容量化・高効率化および地球環境対策に関する研究開発」というテーマで補助金を得た。20年夏から同テーマの研究開発に着手している。地中熱利用にも、一般産業用にも使用できる水冷式・空水冷式の機種で、本体寸法や重量が在来機並みでありながら、容量を従来比1・5倍に大容量化し、高効率運転が可能なHPの製品化を目指している。

今回の開発では「大容量化で部分負荷性能が向上することに加え、冷媒を従来のR407CからR410Aに変更しても圧縮機サイズを大きくする必要がなく、R410A採用機の低コスト化を図れる。またR410Aの代替となる次世代の低GWP冷媒への切り替えが容易にできるHPとなるような設計思想を折り込んでいる」(柴社長)。既に試作機が完成。現在工場での実証試験段階にあるという。

 海外向けにも技術創出の実証事業に乗り出す。同社は環境省主導の「令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(コ・イノベーションによる途上国向け低炭素技術創出・普及事業)」の採択も受けた。モンゴルを対象国とした「極寒冷地のための地中熱・太陽熱ハイブリッドヒートポンプ暖房システムの実証」事業に新年以降着手する。同国の首都・ウランバートル市内で石炭燃焼による暖房設備の代替として、地中熱源対応HPと太陽熱集熱器を組み合わせたHP暖房によるリノベーション実証を行う。新年以降約3年間、夏期には太陽熱で地中温度を回復し、モンゴルのような極寒冷地でも長期間安定した地中熱利用HP暖房を可能にする技術創出に挑む。再生可能エネルギー熱利用によって暖房設備設置箇所での大気汚染物質を排出せず、CO排出量も削減可能な暖房技術を事業化し、普及を目指す。

その他、同社はNEDOの「再生可能エネルギー熱利用にかかる低減技術開発」に2件取り組んでいる。


|2020年12月2日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社統括営業本部・名古屋市中村区名駅2―4514は地中熱・地下水熱などの再生可能エネルギー熱利用が可能なヒートポンプ(HP)を供給するメーカーとして、地中熱利用システムの普及に貢献している。顧客要求に専用設計で応えるHP開発技術に加え、一次側、二次側を問わず各種負荷計算にも対応し、空調システムの提案や自社開発のエネルギー管理システム(EMS)による運用管理面の支援業務も手掛ける。ZEB(ネット・ゼロエネルギービル)の建築設計、設備設計、設計施工、コンサルティング業務を支援する「ZEBプランナー」の登録企業でもある。同社は地中熱利用促進協会の理事会社として「ENEX2021」に出展。同協会ブース内で地中熱源対応HPの活用事例や最新製品情報を事例集や商品カタログ、パネル展示等で紹介する。自社のSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みも会社案内の配布を通じて発信する。

同社は地中熱源対応の高効率HPチラーとビル用マルチシステムを主力製品とし、近年は地中熱利用システム関連の案件でHPを開発したり、納入したりする案件対応が増えている。今回の展示では、同社が総能力364馬力のHPを納入し、地中熱利用システムの事例としては国内最大規模となる八幡平市立病院(岩手県八幡平市)でのHP活用例を中心に紹介する。

八幡平病院は今年3月に完工に至った新築物件。敷地面積1万9千760平方㍍、病棟の延床面積6千313平方㍍の同施設を賄う給湯・冷暖房設備の主要熱源に地中熱利用システムが導入されている。導入に際し、施主の八幡平市が環境省の補助金を活用した。採用された地中熱利用システムは、敷地内の地中に総長100㍍~150㍍の熱交換チューブを埋め込み採熱するボアホール方式と、敷地内の1・0~2・5㍍の浅層の地中に熱交換チューブを水平に埋設する水平ループ方式を併用しているのが特徴。従来の灯油を用いた燃焼系熱源による給湯・冷暖房システムと比べ省エネルギー評価で30・8%、運用費評価で23・6%の削減効果が見込まれる。

 ゼネラルヒートポンプ工業は同案件で能力135馬力の冷暖房用HPチラー2台、60馬力の冷暖房・給湯用HPチラー1台、10馬力のビル用マルチシステム2台、14馬力の同システム1台のスペックインを実現。昨年11月に納入した。柴社長は「大規模案件で地中熱源対応HPを受注できたことはもちろんだが、当社の2本柱となるチラーとビル用マルチの双方を納入することができた点で非常に象徴的な事例となった」と話す。今回の展示では、同病院の事例を主軸に紹介するという。

ほかにも、同社は2019年度に横浜市新庁舎向けに総能力135馬力、広島県三次市新庁舎向けに同216馬力、北海道白老郡の博物館向けに同180馬力のHPを納入するなど、多数の案件で実績を残した。新型コロナウイルス感染拡大が懸念された今年度も北日本、東日本エリアの案件を中心に、100馬力以上の受注案件を多数抱える。珍しい案件では、沖縄県八重山諸島の竹富島で海水を淡水化し熱利用するHPの開発・製造を手掛け、施工にも携わっているところだ。

地中熱熱源対応HPの開発製品では、2019年度に発売した天空熱源HP「スカイソースヒートポンプ」(SSHP)、地下水熱交換ユニット、地下水直接利用型HPの3製品の普及活動と、一層のブラッシュアップ、ラインアップ拡充に力を割いている。

特に同社の技術力が光るSSHPは鹿島建設との共同開発品。空気熱、太陽熱、地中熱を水熱源として利用する斬新なHP空調・給湯システムを構成することが可能で、付帯設備の「水―空気熱交換器」「太陽熱集熱器」と組み合わせてシステムを構成する。ゼネラルヒートポンプ工業はSSHPの納入予定顧客からの要求事項を踏まえ、一層の小型化を図った製品をこのほど開発した。同製品を一次側にして、二次側のビル用マルチシステムとの運用面での最適化を図る実証試験に現在取り組んでいる。

日本地下水開発(本社・山形県山形市)と共同開発した地下水直接利用型HPに関しても、従来の冷暖房用に加え、給湯用の地下水直接利用型HPの開発を現在両社で進めているという。

ゼネラルヒートポンプ工業はENEX展の出展に際し、1026日から来年1月15日まで継続中のオンライン開催にも出展中。専用コンテンツに動画をアップするなど、水冷、空冷、空水冷の各方式で地中熱利用、排熱回収、蓄熱式など多彩なHPを開発・設計・製造する技術力を発信している。柴社長は「ウェブ展からご来場頂くお客様に対しても、HPに関することなら何でもお気軽にご相談頂きたい」とメッセージを寄せた。


|2020年1月29日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社統括営業本部・名古屋市中村区名駅2―4514は「ENEX2020」で地中熱利用促進協会の合同ブースに出展し、地中熱ヒートポンプ(HP)の製品情報と導入事例を示す。また、導入施設の外観やHP設置条件に合わせてHPユニットのカラーリング要求や、配管取り出し位置・サイズ等の変更要求に応える設計自由度の高さを訴求する。環境に優しい地中熱利用システムに必要なHPに関して、同社は機器のみならず省エネ制御などの計装システムを含めてワンパッケージで開発・提供できる自社の強みを前面に出す。地球環境やエネルギーに焦点を当てる同展のテーマに即し、同社のSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みも紹介する。

HPメーカーである同社は地中熱・地下水熱などの再生可能エネルギー熱を利用できる高効率HPチラー「ZQHシリーズ」のケーシングを自社ブース内で展示する。特にケーシングのカラーをメタリックレッドにあしらった、個性的なカスタマイズサンプルを実物展示する。外観を気にする場所への設置や、地中熱HPを敢えて目立たせたい場合にカラーリングは効果的。顧客から寄せられるカラーリング要求に対し、同社は3DCADを用いて自社設計で対応可能な点を来場者に発信する。また、地中熱利用システム向けに使用できる製品として2019年度から発売した天空熱源HP「スカイソースヒートポンプ」(SSHP)、地下水熱交換ユニット、地下水直接利用型HPの3種の新製品もパネル展示で紹介する。

SSHPは鹿島建設との共同開発品。空気熱、太陽熱、地中熱を水熱源として利用する斬新なHP空調・給湯システムを構成することが可能。付帯設備の「水―空気熱交換器」「太陽熱集熱器」と組み合わせてシステムを構成し、総合的な再生可能エネルギー熱利用を実現する。

地下水熱交換ユニットは東邦地水(本社・三重県四日市市)との共同開発品。独自の変流量対応地下水利用ビル用マルチ空調システムの設計上で必要になる熱源井―HP間の熱交換器、配管、制御弁、インバーター制御盤などをユニット化したもの。地下水利用ビルマルの工事費用と運用費削減に貢献する。

地下水直接利用型HPは日本地下水開発(本社・山形県山形市)との共同開発品。帯水層蓄熱システムに最適なチラー用HPで、スケール付着防止機構を組み込み、地下水との熱交換効率の維持と、スケール付着時の熱交換器洗浄費用の低減を実現する。地下水直接利用型HPについて柴社長は「さらなる進化を目指して現在、日本地下水開発様と引き続き共同研究開発と実証を進めていく」としている。

今回の展示では、ゼネラルヒートポンプ工業のSDGsの取り組みも前面に出す。「2030年までに、当社製HPの導入によって年間でタンカー1隻分の原油を削減することや、名古屋市の17%または東京23区の9%の面積を森林に変えるのと同等の二酸化炭素排出削減など、10項目の取り組みを具体的に示す」(柴社長)。これと関連して昨年12月初旬に同社が環境配慮型の建築物であるZEB(ネット・ゼロエネルギービル)の建築設計、設備設計、設計施工、コンサルティング業務を支援する「ZEBプランナー」の登録企業に認定された情報も発信する。

 地球環境に配慮した企業活動と並行して、同社は従業員の生活環境にも配慮した雇用形態も積極的に導入している中小企業である点も、地元の愛知県などから注目されているようだ。一部の従業員との間でテレワークテレワーク(ITを利用した場所・時間にとらわれない働き方)による雇用契約を締結。本業との兼業希望者や、家庭生活と就労の両立を志す入職希望者が活躍できる場を提供している。「有能な人材をテレワークによって活用できる点は当社にとってもプラスに働く」(同)とし、入職希望者固有のスキルを踏まえつつ、現在も有能な人材に対しテレワーク形態での雇用を募っているという。

今回のブース内では、ゼネラルヒートポンプ工業のHP技術に対する理解を深める場となることはもちろんだが、同社の企業活動全般に触れる機会を得られる場にもなりそうだ。

 


|2020年1月1日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・名古屋市中村区名駅2―4514)のヒートポンプ(HP)製品販売実績が2019年度は総じて堅調に推移している。同社は業務用・産業用のほか、地中熱・地下水熱・温泉熱・空気熱・下水熱等を活用して空調・給湯・工場プロセスの熱利用HPを供給する開発型メーカー。HPの広域販売を通して、省エネルギーと環境保全に貢献する。19年度は特に、医療施設向け透析熱回収HPシステムの販売が増加傾向にある。地中熱利用HP空調システムに使用される地中熱源HPの販売も好調。19年度から新発売した天空熱源HPは発売初年度に導入実績を計上し、次の案件も浮上するなど注目度が上がってきた。これらのHPが実販台数を押し上げていきそうな気運が高まっている。

同社は地元の愛知県が県内の優れたものづくり企業を認定する「愛知ブランド企業」の1社。持ち前の技術開発力を強みに、空調・冷熱業界で愛知発の独自技術を国内外に広く発信している。

業務用HPの展開では、ウォーターテクノカサイ(本社・東京都小金井市)、日機装(本社・東京都渋谷区)と共同開発した医療施設向けの透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」の採用実績が伸長し、手応えを得ている。同システムは人工透析治療時の透析排水等を熱源とし、水冷式HPとインバーター技術によって、わずかな排出熱を少ない電力で、より大きな熱エネルギーに増幅させ、その熱をRO装置の原水加温に利用するもの。透析装置全般の大幅な節電に寄与する。18年2月、平成29年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞している。

 柴社長は需要動向について「『省エネ大賞』受賞効果もあってか、初号機が17年に千葉県の東葛クリニック病院に採用され以降、徐々に引き合いが増えている。19年には秋田、山形、千葉などの透析病院で導入実績を計上し、当社の販売計画比2倍のペースで伸長している」と話す。社内でスマートEシステムの営業専任者を擁立し、医療施設関係者向けの提案営業を強化してきたことが奏功。また透析学会でスマートEシステムの熱回収による省エネ効果が発表されたことや、柴社長の著書「医療・介護施設経営者のための水道光熱費を劇的に削減する方法」(幻冬舎刊)を購読した医療施設経営者からの引き合いもあったようだ。現在はRO排水利用に特化した小型製品の開発に着手しているという。

地中熱源HPは地中熱利用HP空調システムの普及が進む北海道、東日本を中心に導入実績が拡大中。西日本では関西地区では大阪府内や兵庫県内の案件に対応した。また19年の営業の中で佐賀県内の公共施設向けにも受注し、新年以降に納入を予定。地中熱利用システムの導入が遅れている九州地区でも実績が計上できそうな状況だ。

19年度に発売した新製品、天空熱源HP「スカイソースヒートポンプ」(SSHP)もZEB関連案件で注目されるようになってきた。地中熱・太陽熱・空気熱を結集した再生可能エネルギー熱複合利用を可能にするもの。、来年度には2件の納入を予定する。現在は顧客要求を受けて「現行品より設置工事面積の小さなユニット製品の開発に着手している」(柴社長)とした。

 

同社は12月初旬、ZEBプランナーの登録企業となった。これによりZEBの導入計画がある建築主の相談窓口となり、建築設計、設備設計、設計施工、コンサルティング業務の支援にも動く。

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|2019年11月27日号|(関連記事)


|2019年11月6日号|

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社統括営業本部・名古屋市中村区名駅2―4514は「全国地中熱フォーラム2019」の会場内7階イベントホールで催される企業・団体展示に2小間のブースを出展する。ブース内で地中熱ヒートポンプ(HP)の製品情報と導入事例を紹介する。また、導入施設の外観やHP設置条件に合わせてHPユニットのカラーリング要求や配管取り出し位置やサイズ変更に応える設計自由度の高さを訴求。省エネ制御などの計装システムまで包括的にワンパッケージ化して開発・提供できる自社の強みを発信する。さらに、SDGs(持続可能な開発目標)に関する自社の目標と取り組みもパネル展示で披露する。

HP専業メーカーである同社は、地中熱・地下水熱などの再生可能エネルギー熱を利用できる高効率HPチラー「ZQHシリーズ」のケーシングを自社ブース内で展示する。柴社長は展示に際し「今回、ケーシングのカラーをメタリックレッドなど、個性的な色合いにカスタマイズしたサンプルを展示する。外観を気にする場所への設置や、地中熱HPを敢えて目立たせたい場合にカラーリングは効果的。こうしたケーシングを当社が3DCADを用いて自社設計できるという情報を発信したい」と語る。

また、自社のSDGsに関する取り組み紹介では「2030年までに、当社製HPの導入によって年間でタンカー1隻分の原油を削減することや、名古屋市の17%または東京23区の9%の面積を森林に変えるのと同等の二酸化炭素排出削減など、10項目の取り組みを具体的に示す」(柴社長)としている。

同社の2019年度上期における地中熱HP販売台数は、前年同期以上の伸長率で推移している。19年度の納入例では、岩手県八幡平市立西根病院の移転新築案件でビル用マルチシステムとチラーなど総能力364馬力の地中熱HPを納入。また横浜市庁舎の新築案件でも冷暖同時チラー主体で総能力135馬力の地中熱HPを納めた。全国的に特需化した小中学校での空調導入案件でも、同社は新潟県柏崎市の中学校3校に今夏、地中熱ビル用マルチの納入を実現した。

他方、19年度から新たに発売した天空熱源HP「スカイソースヒートポンプ」(SSHP)、地下水熱交換ユニット、地下水直接利用型HPの3種の新製品も、それぞれ引き合いが寄せられているもよう。同社はスペックインに向けた商談を順次進めているところだ。

3製品の中で、SSHPは実際に新潟県刈羽郡内の高齢者福祉施設で水冷チラーや排熱回収型HPと共に採用された。同HPは鹿島建設(鹿島)との共同開発品。空気熱、太陽熱、地中熱を水熱源として利用する斬新なHP空調・給湯システムを構成することが可能。付帯設備の「水―空気熱交換器」「太陽熱集熱器」と組み合わせてシステムを構成し、総合的な再生可能エネルギー熱利用を実現する。同フォーラムの初日セッション2「技術の最新動向」の講演の中で、鹿島の塩谷正樹・技術研究所部長が天空熱源を用いた地中熱利用システムの建築物への導入事例について解説するという。

 

このほか、ゼネラルヒートポンプ工業の地中熱HPが農業での温度管理や低エネルギーコストに役立てられている事例として、キノコ類菌床製造・販売の森の環(もりのわ、本社・富山県高岡市)での地中熱(地下水)利用水冷式ビル用マルチ採用事例があるが、展示会場と同ホール内の別会場に設置される「地中熱特産品コーナー」で、森の環で生産されたのシイタケやキクラゲが数量限定で販売されることから、柴社長は「地中熱利用システムによる最適な温度管理下の工場で菌床栽培された、肉厚でかみ応えのあるキノコ類をぜひご賞味頂きたい」と呼びかけている。


|2019年5月29日号|

<記事原稿>

業務用・産業用のヒートポンプ(HP)メーカーのゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社統括営業本部・名古屋市中村区名駅2―4514は、自前技術を駆使したHP製品をシリーズ展開する一方、ユーザーの個別要求に応じた一品一様のオーダーメードにも応じる。過去10年間の製品開発の中では特に①産業プロセス向けの洗浄工程用HPの開発②医療施設向けの透析熱回収HPシステムの開発③再生可能熱エネルギー利用を実現する地中熱利用HPの高効率化と製品群の拡充――という3方向のHP技術を磨き、製品化してきた。2030年に向けても小回りが利くHPメーカーとして多様な製品・システム開発に挑み、HPの新たな可能性を探求する。これまでの開発品の中で特定分野の需要を開拓した製品を他分野へ横展開する動きも志向していく。

産業プロセス向けの洗浄工程用HPは現在「プロセスHP」という名称に変更して工場向けに訴求している。同HPは冷熱と温熱の同時供給が可能。工場などの熱利用施設に対し、蒸気ボイラーや電気ヒーターの代替用熱源機として同社が提案しているもの。加熱専用型で加熱COP(成績係数)2・9、冷却・加熱併用型で総合COP5・0に達する高効率運転を可能にした点が特長。導入事例の中には、従来の蒸気ボイラーと蒸気配管を使用したシステムと比べ約84%の省エネを達成した事例がある。現在は機械部品製造工場の切削工程での切削+洗浄プロセスで導入実績を積み上げている。それ以外にも、ハウス栽培や植物工場での冷暖房を賄う農業プロセス、蒸気ボイラーが必要となる各種工場でのベーパライザー用熱源で利用する気化プロセス、空調機の実験室向けにオプションの加湿器を実装して温湿度を制御する恒温・恒湿プロセスなどでの潜在需要を想定している。

業務用HPの展開では、ウォーターテクノカサイ(本社・東京都小金井市)、日機装(本社・東京都渋谷区)と共同で医療施設向けの透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」を開発、14年度から提案営業を仕掛け、導入事例を増やしている。同システムは透析排水等を熱源とし、水冷式HPとインバーター技術でわずかな排出熱を少ない電力で、より大きな熱エネルギーに増幅させ、その熱をRO装置の原水加温に利用するもの。透析装置全般の大幅な節電に貢献する。スマートEシステムは18年2月、平成29年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した。

同社は地中熱利用HPの開発力と製品群も豊富に取りそろえる。柴社長は「ビル・工場などの建築物でZEBを志向した省エネを実現するための高効率空調の手法として、地中熱利用を提案している。特に地下水熱利用は有効な手段であり、当社にはそのノウハウと実績がある」と語る。地中熱関連製品では、今春から地下水熱交換ユニット、地下水直接利用型HP、再生可能エネルギー熱を複合利用できる天空熱源HPといった3種の新製品を投入。現在拡販に向けた提案営業を強化しているところだ。

同社は自社製造した各種HPの品質管理の徹底と品質向上を意識した改善活動にも社を挙げて取り組んでいる。以前から実施していた品質会議を強化する形で約1年前から品質管理委員会を発足。これまで特定部門主体の品質管理を実施してきた旧体制を改め、品質管理委員会が主体となる横くし体制の下で部門間の垣根を超えた横断的な議論の場を設け、技術的課題と向き合う品質管理体制を現在徹底している。この点も同社の信頼評価につながっているようだ。

柴社長は今後の製品開発と事業展開について「HPの高効率化への取り組みはもちろんだが、今後は制御技術のブラッシュアップやAI技術の取り込みにも挑戦したい。営業展開では、これまで業務用HPと地中熱利用HPの販売実績を伸ばしてきたが、今後は工場での排熱利用や地下水熱利用など未利用熱を有効活用する提案を切り口に、産業用HPの拡販を目指す」と語った。