地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。

|2022年1月26日号|

空調タイムス掲載記事

空調タイムスにゼネラルヒートポンプ工業㈱の記事、地中熱などを利用した再生可能エネルルギー熱に対応したヒートポンプ技術、SDGsへの取り組み等について掲載されました。

是非ご覧いただけますようよろしくお願いいたします。

<記事原稿>

ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2―4514)は地中熱、地下水熱、温泉熱などの再生可能エネルギー熱(再エネ熱)利用に対応したヒートポンプ(HP)メーカーとして知名度が高い。地中熱利用システム(GSHP)の施工案件で長年にわたり多数の地中熱源対応HPを供給している。再エネ熱対応のHP開発・製造に加え、周辺部品、部材、計装システムまでを包括したパッケージシステムとして提供する。同社は地中熱利用促進協会の理事会社の1社であり「ENEX2022」には同協会ブース内に自社ブースを構え、地中熱源対応HPの製品情報や納入事例をパネル展示等で紹介する。会社パンフレットの配布を通じてSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む自社の企業姿勢も発信する。

GSHP分野のHPは地中熱源対応高効率HPチラー「ZQHシリーズ」、地中熱源対応ビル用マルチシステム「ZPシリーズ」を主力製品とし、同社は専用設計の特注要求にも応じている。一次側・二次側を問わず各種負荷計算に対応し、空調システムの提案や自社開発のエネルギー管理システムによる運用管理支援業務にも精通する。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の建築設計、設備設計、設計施工、コンサルティング業務を支援する「ZEBプランナー」の登録企業でもある。

昨年の地中熱源対応HPの納入事例では、青森県平川市の新庁舎建設案件で総能力144馬力のGSHPを供給。佐賀県に新設された総合運動場「SAGAサンライズパーク」(佐賀市)にも同144馬力のGSHPを納めた。ほかにも北海道富良野市の新庁舎建設案件では同90馬力、北海道広尾郡大樹町の新庁舎建設案件では同88馬力など、大規模なGSHP設置案件で同社は自社製品の納入を果たしている。

柴社長は近況について「受注対応がピーク期にあった2020年度と比べると少し落ち着いた感はあるが、昨年も多数のGSHPを受注し、納入実績を積み上げた。近年の傾向としては、官公庁施設の新設案件でZEBを目指した動きが顕在化している。当社のGSHP納入先も全国の官公庁施設向けが最多。昨年は総能力1050馬力クラスの製品を納入する案件が多かった」と話す。

官公庁施設ほどではないが、民間案件でもGSHPが採用される事例が増加傾向にあるようだ。ゼネラルヒートポンプ工業は昨年、大手企業の本社ビル、支社・支店、研究開発施設や、製造業顧客の新工場建設に絡んだGSHP導入案件にも対応した。今回のブース展示では「当社が今までに納入したGSHP設置案件の象徴的な事例を紹介する」(柴社長)という。

同社は業務用・産業用HPも多彩ラインアップしている。今回のパネル展示では、同社が開発してウォーターテクノカサイ(本社・東京都小金井市)、日機装(本社・東京都渋谷区)が販売面で協力する透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」を業務用HPの一例として紹介する。同システムは人工透析治療の際に出る透析排水やRO(逆浸透膜)水製造時に捨てられる濃縮排水の熱を回収してRO装置の原水加温用途で活用し、加温時の省エネを実現するもの。「スマートEシステム」を導入した病院では、従来のRO水原水加温装置と比べ電力料金を年間平均で約78%削減できた事例があるという。

同システムの省エネ性能は対外的にも高く評価され、3社は2017(平成29)年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞。昨年10月にも公益財団法人中部科学技術センター主催の第20回(令和3年度)中部科学技術センター顕彰で「振興賞」を受賞した。

産業用HPに関しては、冷温双方の熱を同時に取り出して供給できる「プロセスヒートポンプ」(プロセスHP)を紹介する。加熱専用型で加熱COP(成績係数)2・9、冷却・加熱併用型で総合COP5・0に達する高効率運転を実現するのが特長。ベース技術は中部電力との共同開発で実用化した。

プロセスHPの導入事例では、機械部品の切削作業現場で切削加工機の切削油の熱を冷却する工程と、洗浄液を加温する工程に冷熱と温熱を同時に供給するプロセスで採用された実績が光る。蒸気ボイラーと蒸気配管を使用したシステムと比べ約84%の省エネを達成した同事例は、2011(平成23)年度省エネ大賞の省エネ事例部門で「資源エネルギー長官賞」を受賞。16年にはIPEEC(国際・省エネルギーパートナーシップ)で「第1回国際トップテン事業BAT(先進省エネ技術)」に選出されている。

ゼネラルヒートポンプ工業はSDGsに関する取り組みにも精力的だ。快適な生活環境に欠かせない冷暖房や給湯を自社のHP技術で提供し、すべての人々の安全で快適な生活に寄与することを志向。また再エネ熱対応HPシステムの普及を推進し、クリーンエネルギーによる省エネ実現にも貢献する方針を掲げる。

定量目標では、同社製HPの導入を通して2030年までに年間でタンカー1隻分の原油を削減することや、名古屋市の17%または東京23区の9%の面積を森林に変えるのと同等の二酸化炭素排出量削減など、SDGs10項目に宛がった取り組みを推進している。持ち前のHP技術を「今後の地球環境保護のためにも大切な技術であり、将来の可能性に満ちた分野」(柴社長)と捉え、今後も環境価値の高い製品を提供していく構えだ。