地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。
地中熱源対応HPの実績が豊富
ZEB案件での採用が拡大 制御盤も自社開発
<記事原稿>
ゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中区名駅2-45-14)は、地中熱、地下水熱、温泉熱などの再生可能エネルギー熱(再エネ熱)を利用する業務用ヒートポンプ(HP)の開発事業に強みを持つ。特に地中熱利用システム(GSHP)に対応したHPチラーやHPビル用マルチシステムの納入実績が豊富。同社の地中熱源対応HPは近年、ZEB案件での採用実績が拡大傾向にある。同社顧客要求に専用設計やカスタム対応で応えるHP開発技術に加え、各種負荷計算に対応した空調システムの提案や、制御盤を自社開発して提供するなどエネルギー管理システム(EMS)の支援業務も守備範囲とする。一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が認定する「ZEBプランナー」の登録企業でもある。
GSHPの導入案件では、地中熱源対応高効率HPチラー「ZQHシリーズ」、地中熱源対応ビル用マルチシステム「ZPシリーズ」を主力に製品展開を図っている。谷藤浩二常務は近況について「環境省などの補助事業でZEBの建築に対する補助金が手厚くなっていることを背景に、国内では新築案件を中心にZEB化が進んでいると感じる。ZEBの空調用熱源には、GSHPが採用される向きがあり、当社も最近はZEB化案件に携わる機会が増えている。数年前はZEBと絡めて当社がGSHPの導入を設計事務所などのお客様に働きかけていたが、最近はお客様からの引き合いに対応した結果、HPの納入先がZEBだったというケースが増えている」と話す。
2021年度もゼネラルヒートポンプ工業は官公庁案件、民間案件の双方で、ZEB向けに地中熱源対応HPを複数の物件に納入した。官公庁案件では「ZEB Ready」認証を取得した北海道広尾郡の大樹町役場庁舎新築案件や、青森県平川市の新本庁舎新築案件に対応。また「Nearly ZEB」認証を取得した東京都品川区内の環境学習交流施設の新築案件でも地中熱源対応HPを納めた。民間では、大手総合建設会社(ゼネコン)の新社屋や総合研究所などで100%以上の削減を実現した『ZEB』や、「ZEB Ready」認証を取得する事例が増えている。この関連でゼネラルヒートポンプ工業は21年度に茨城県、大阪府、静岡県などで複数のゼネコン関連施設向けに地中熱源対応HPを受注、納入した。ZEB案件での実績を着実に積み上げている。
ゼネラルヒートポンプ工業はHPの開発にも日々精を出す。昨年来の開発を経て、今月1月にユニット型高効率水冷式HP「ZQスーパー(ZQS)」シリーズを発売した。同社従来機と本体サイズを同等にとどめながら大容量・高効率を実現。再エネ熱も有効活用できるHPとして現在提案営業を始めている。冷媒にR410Aを採用した機種と、R410AよりGWP(地球温暖化係数)が大幅に低いR454Bを採用した機種を同時発売した。R454B採用の高効率機種はゼネラルヒートポンプ工業がこれまでに開発・製造してきたHPの中で最高効率に達する。2月に開催された第42回冷凍・空調・暖房展「HVAC&R JAPAN2022」(主催=日本冷凍空調工業会)に同社は出展し、ZQSを展示したところ、採用に向けて前向きな引き合いがあったという。今後GSHPでの採用にも期待が持てる状況だ。
同社はHPの供給と共に、自社開発の制御盤を用いたEMSの提供でも実績を残している。ZEB化案件では「ZEB制御盤」を商品化しており、中小規模のZEBに採用された事例がある。同社の制御盤はHPと同様、顧客要求に個別対応で最適化を図るため「当社の制御盤をご評価頂けるお客様の案件では、HPを導入しない場合であっても、制御盤だけで受注できることがある」(谷藤常務)という。
環境省の補助・委託事業や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成授業による複数の共同技術開発プロジェクトにも同社は参画している。ZEB志向の高効率帯水層蓄熱用トータル熱供給システム、地中熱・太陽熱・空気熱のハイブリッド冷暖房・給湯システムの構築などで協業先に対しHP技術で協力し、フィールドでの実証実験を共同で進めている。谷藤常務は「HPを活用した熱利用のポテンシャルはあらゆる業種や場面で存在する。ZEBに限った話ではなく、当社はそのポテンシャルを見つけて、HPの熱利用システムの可能性を追求していきたい」と語った。