地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。

2024/1/10

空調タイムス 2023年12月06日号に弊社記事が掲載されました

「第4回全国地中熱フォーラム」にて
高効率水冷チラー紹介 佐賀など九州や農業利用の事例も紹介

 

高効率水冷チラー紹介 再エネ熱源対応ヒートポンプ

佐賀など九州や農業利用の事例も

<記事原稿>

業務用・産業用ヒートポンプ(HP)メーカーのゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14)は「第4回全国地中熱フォーラム」の会場内で、地中熱利用促進協会の合同ブースに出展し、地中熱利用システム(GSHP)への適用が可能なユニット型高効率水冷式HPチラーの情報を発信する。同フォーラム開催地の佐賀県をはじめ九州地区での再生可能エネルギー熱源対応HPの納入事例や”農業での地中熱利用”に照準をを合わせ、本州で実績のある農業分野での同HPの納入事例も紹介する。​

 同社は地中熱、地下水熱、温泉排湯、下水熱、空気熱、などの再エネ熱源対応HPの開発技術を有する。この分野の自社製品は空冷式・空水冷式の高効率HPチラー「ZQハイパー(ZQH)」シリーズと、空冷式・空水冷式のビル用マルチ空調システム「ZP」シリーズをラインアップしている。顧客からの専用設計やカスタム要求にも可能な限り応じる。HPユニットの提供に加え、各種負荷計算に対応した空調システムの提案や、制御盤を自社開発して提供するエネルギー管理システム(EMS)の分野にも精通する。柴社長は「GSHP用途ではZQH・ZP両シリーズをご採用頂ける機会に恵まれており、主に「空調用熱源機として使用されている。当社の年間HP販売台数の過半数がGSHP用途になる。特に近年は、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)案件に絡んだGSHP向けにHPを出荷する機会が増えている」と話す。

 建設業界で脱炭素志向が強まる中、GSHPはZEBと親和性の高い熱利用システムとして期待される。それだけに、ZEB実現に向けた相談窓口や建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計、コンサルティング等の業務を行う「ZEBプランナー」の登録企業からは、GSHPのさらなる高効率化や環境負荷低減への期待が大きい。要求事項は当然、ゼネラルヒートポンプ工業のコア技術が凝縮されたHPユニットの開発にも及ぶ。同社はZEBへの対応力を意識し、一層の高効率化と環境負荷低減に取り組み、2021年にユニット型高効率水冷式HPチラー「ZQスーパー(ZQS)」シリーズを開発、22年1月に発売した。

 ZQSは従来のZQHと本体サイズを同等にとどめながら大容量・高効率を実現し、再エネ熱利用が可能。冷媒にはR410Aを採用した機種と、R410AよりGWP(地球温暖化係数)が大幅に低いR454B(GWP=466)を採用した機種の2機種を同社はラインアップしている。R454B採用機は同社の開発史上で最高効率に達する性能を誇る。GSHPがスペックインされたZEB案件を中心に昨年来、同社はZQSの提案営業を強化しており「今年度は引き合いが強く、受注が立ち上がってきた」(営業部・佐藤槙也副長)。

 同社はHPシステムの運転状況や消費電力量、温度表示などの可視化と省エネ運転制御を実現する熱源制御・監視システム「ZEOS」や、設備の運転データをクラウドで自動集計し、パソコンやスマートフォン等の画面上で簡単に確認できるクラウド型遠隔監視システム「ZQ CLOUD]など、各種EMSも自社で開発・商品化している。今回の合同ブースへの出展を通じて「再エネ熱源対応HPの最新機種としてZQSを紹介するとともに『ZQ CLOUD』を活用した遠隔での”見える化システム”も訴求する」(柴社長)考え。

 昨年から今年にかけて、同社では新築ZEB案件でGSHP用途のHPを納入する事例が増加傾向。BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)定義上での100%「ZEB」の案件では、塚田電機工事(宮城県仙台市)の新社屋に総能力16馬力のHPと、ゼネラルヒートポンプ工業が開発・商品化した「ZEB Ready」の案件では、かるまい交流駅(岩手県九戸郡)に90馬力のHPを納入。さらに、実運用上で省エネルギー73%と創エネにより100%「ZEB]を実現した常盤工業(静岡県浜松市)にも36馬力のHPを納めた。

 農業利用の事例は、森の環(富山県高岡市)でのシイタケなどの菌床類生産工場「あしつきの森」新築時のGSHP導入事例が象徴的。2017年当時の案件だが、栽培環境の温度維持用途でGSHPが採用され、ゼネラルヒートポンプ工業は80馬力のHPを納入。その際、負荷に応じた分散運転などを可能にするEMSも提供し、燃料費削減を実現する省エネ効果創出に貢献した。同事例については「第4回全国地中熱フォーラム」会期中の12月14日11時~13時に、会場内メーンステージで予定される「講演会Ⅱ『農業での地中熱利用』」で、森の環取締役総務部長の中山光宏氏が講演者として登壇。「地中熱利用によるハナビラダケ栽培(仮)」と題した講演の中で、詳細な設備の内容や導入効果などを解説する。

 同フォーラム開催地の佐賀県内でも、GSHPの導入事例が徐々に増えている。ゼネラルヒートポンプ工業は佐賀県市内の干潟観光施設「東よか干潟ビジネスセンター ひがさす」に36馬力、唐津市内のハウスミカン栽培施設農家の果樹試験場に18馬力の再エネ熱源対応HPを納めた実績がある。ほかにも、県内の大規模公共施設向けに多台数で納入した事例を含め、九州地区での納入事例も紹介する予定だ。