地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。

2024/1/23

空調タイムス 2024年1月1日号新春特大号第2部に弊社記事が掲載されました

循環加熱ヒートポンプの新機種を発売
再エネ熱利用チラーは高効率機
~透析熱回収技術で文部科学大臣表彰も受賞

 

循環加熱ヒートポンプの新機種を発売

透析熱回収技術で文部科学大臣表彰も

再エネ熱利用チラーは高効率機

<記事原稿>

 業務用・産業用ヒートポンプ(HP)メーカーのゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14)は昨年、愛知県の補助事業の採択を受けて循環加熱ヒートポンプ(HP)の新機種を開発、産業用高効率HPの自社商品「プロセスヒートポンプ」の第2世代モデルと位置付け、来年2月に発売する。従来モデルと比べHPの効率を高め、地球温暖化係数(GWP)の低い次世代冷媒のR513Aを採用。出湯温度85度Cまでの高温循環加熱を可能にした。従来モデルの市中ストックへの更新提案に加え、工場での洗浄、切削工程で求められる加熱ニーズに応えるHPとして同社は提案、製造業の新規顧客開拓につなげる。

 「プロセスヒートポンプ」は洗浄工程での水槽加熱用途や、切削工程での水槽加熱用途や、切削工程での切削油の冷却と洗浄液の加熱を同時に行う用途などで導入事例がある。洗浄・切削工程で従来使用されてきた蒸気ボイラーや電気ヒーターの代替用熱源機として、製造業の蒸気レス・省エネ・省コスト・CO2削減に貢献する。

 新モデルは愛知県が予算化した「2022年度新あいち創造研究開発補助金」の採択を受けて開発したもの。従来モデルは能力6馬力と12馬力の機種だが、新モデルは10馬力の機種。従来モデルよりも効率が向上しており、設備の運用条件によっては12馬力の従来モデルの更新提案にも適用できる。新モデルの冷媒に採用したR513AはGWPが573。従来モデルに採用したR134aのGWPは1千430であるため、約60%の低GWP化を図った。

 85度Cの高温循環加熱が可能な点も特長。柴社長は「従来モデルは循環加熱温度70度Cが上限だった。しかし、製造業のお客さまからは、もっと高い温帯で循環加熱をご希望されるニーズがあった。そこで圧縮機の構造を改良するなどして高温循環加熱を可能にした。省エネ性や環境負荷低減にも配慮し、新モデルを開発した」と話す。同社は地元の愛知県内の自動車産業などでの工場の製造プロセスにおける加温ニーズに対し、新機種を提案していくという。

 民生分野でのHP展開では透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」が透析病院の運営上での省エネ・省コストに資するとして注目度が上がっている。同システムでは、従来透析治療後に廃棄していた、加熱された透析液排水の熱をHPで回収し、原水側の加温に有効活用することができる。これにより従来加温時に使用していた電気ヒーターやガスボイラーよりも省エネルギーを実現する。間接的にHPで熱を回収するため熱交換器の腐食等に起因する透析廃液による原水の汚染が無く安全であることも特長。加えて、熱交換よりも高い熱回収能力が得られる。こうした技術開発と、病院での導入事例で電気ヒーターによる加温と比べ約78%の消費電力削減効果を確認できたという。こうした技術が文部科学省にも評価され、柴社長は昨春、「スマートEシステム」の開発の一人として、共同開発者となるウォーターテクノカサイ(本社・東京都小金井市)の笠井庸三社長と共に「令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」の科学技術賞(技術部門)を受賞した。

 他方、ゼネラルヒートポンプ工業は地中熱、地下水熱、温泉排湯、下水熱、空気熱などの再エネ熱源対応HPの開発技術でも業界での認知度が高い。建設業界で脱炭素志向が強まる中、地中熱ヒートポンプシステム(GSHP)はZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)と親和性の高い熱利用システムとして期待される。同社はZEBへの対応を意識し、一層の高効率化と環境負荷低減に取り組んだユニット型高効率水冷式HPチラー「ZQスーパー(ZQS)」シリーズの訴求にも、昨年来力を割いている。

 ZQSは従来のZQHと本体サイズを同等にとどめながら大容量・高効率を実現し、再エネ熱利用が可能。冷媒にはR410Aを採用した機種と、R410AよりGWP(地球温暖化係数)が大幅に低いR454B(GWP=466)を採用した機種の2機種を同社はラインアップしている。R454B採用機は同社の開発史上で最高効率に達する性能を誇る。「今年度はZQSへの引き合いが強く、受注が立ち上がってきた」(柴社長)と手応えを得ている。

 同社はHPシステムの運転状況や消費電力量、温度表示などの可視化と省エネ運転制御を実現する熱源制御・監視システム「ZEOS」や、設備の運転データをクラウドで自動集計し、パソコンやスマートフォン等の画面上で簡単に確認できるクラウド型遠隔監視システム「ZQクラウド」など、各種EMSも自社で開発・商品化している。柴社長は、「今後のGSHPの最新機種としてZQSを紹介するとともに『ZQクラウド』を活用した遠隔での”見える化システム”も訴求していく」と語った。