地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。

2024/2/2

空調タイムス 2024年1月24日号に弊社記事が掲載されました

独自の開発力、際立つ製品群
再エネ熱対応HP訴求
小型水熱源HP給湯器も参考展示

 

独自の開発力、際立つ製品群

再エネ熱対応HP訴求

小型水熱源HP給湯器も参考展示

<記事原稿>

 各種ヒートポンプメーカーのゼネラルヒートポンプ工業(社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2―4514)は「ENEX2024」の会場内で、自社単独ブースでの展示に加え、当社が会員である地中熱利用促進協会の隣接したブースとも連携する。両ブースへの展示を通じて、再生可能エネルギー熱の利用に対応したHPシステムを紹介する。産業用・業務用の製品提案では、新たに開発した循環加熱HPの新機種や、人工透析治療を行う透析病院の省エネルギーに貢献する透析熱回収HPの情報を発信。さらに24年度中に発売予定の小型水熱源HP給湯器も参考展示する。独自の開発力が際立つ製品を実機やパネルで訴求する。

 同社は地中熱、地下水熱、温泉排湯熱、下水熱など、再エネ熱対応HPの開発を得意とする。地中熱利用促進協会の会員企業でもあり、同協会の展示ブースでは、地中熱関連製品・技術に関する情報を発信する。地中熱ヒートポンプシステム(GSHP)はネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)と親和性の高い熱利用システムとして今後の普及が期待される。柴社長は「当社の全HP販売台数のうち、今年度はGSHP用途での出荷が過半を占めている。直近3年間のGSHP用の内訳を見ると、ZEB案件への対応が多い。ZEB案件の傾向としては、一昨年までは官公庁系の案件が主だったが昨年来、民間企業の本社ビルなどでのZEB案件の引き合い・受注数も徐々に増えている」と話す。

 同社はZEB案件への対応を意識し、一層の高効率化と環境負荷低減に資するユニット型高効率水冷式HPチラー「ZQスーパー」(ZQS)シリーズを2022年に発売。現在、高付加価値機種として訴求している。ZQSは従来の「ZQハイパー」シリーズと本体サイズが同等で、大容量・高効率を実現。再エネ熱利用も可能。冷媒にはR410Aを採用した機種と、R410Aより低GWP(地球温暖化係数)のR454B(GWP=466)を採用した機種の2機種をラインアップしている。R454B採用機は、同社の開発史上で最高効率に達する性能を誇るという。

 地中熱、太陽熱など多様な再エネを集放熱源とする天空熱源HP「Sky Source Heat Pump(スカイソースヒートポンプ)」(SSHP)もラインアップしている。熱源水ループの連携制御に寄与する高機能HPで、多様な運転モードを有し、地中熱、太陽熱、外気の条件により最も高効率で経済的な運転を自動で選択することが可能。同社は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の下、総合建設大手の鹿島建設との共同実証事業でSSHPを活用し、空調・給湯など多目的な熱需要に対応する低コストで高効率な要素機器とシステム技術の実証試験を継続している。

 SSHPの活用で再エネ熱による熱源水ループを制御する仕組みは、大規模な次世代地域熱供給事業にも実装されそうな機運にある。名古屋大学が代表機関となり、産学官一帯の資源・エネルギー〝変環〟共創拠点「COI―NEXT」の活動がその具体例。同共創拠点で掲げる〝変環〟とは、変換と循環を掛け合わせた言葉。従来の生産→消費→廃棄の概念を変革し、市民全員が生産者となることを示すキーワードとして〝変環〟という言葉が用いられている。「COI―NEXT」による活動の骨子は、ガス・電気・熱を中心に、国民生活や経済産業界で取り扱う資源・エネルギーについて、ハード・ソフトの両面で革新を行い、未利用資源を発掘、それを利用するための新技術や新システムの開発を行うこと。並行して技術・システムの使用者への教育を通して、市民全員で新たな資源・エネルギーの共創システムを構築、社会実装を目指していく。ゼネラルヒートポンプ工業は地元のHPメーカーとして、同共創拠点の活動に参画し、HP技術の提供で貢献していく構えだ。

 ほかにも、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の主導下の研究開発事業では「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム」(SATREPS)の研究テーマの一つに採択された「地中熱利用による脱炭素型熱エネルギー供給システムの構築」という共同研究事業に同社は参画。タジキスタン共和国でAI(人工知能)やICT(情報通信技術)を統合した高性能な乾燥地帯対応型地中熱HPを実用化し、同国で普及させるプロジェクトにもHPの技術技術面で協力している。

 多方面でHPの開発に取り組む同社は「ENEX2024」の会場内で自社単独ブースを4小間設ける。ここではGSHP用途以外にも、製造業の工場での切削・洗浄工程などの省エネに寄与する産業用循環加熱HP「プロセスヒートポンプ」の第2世代モデルの実機を展示する。同HPは2月に発売する新機種。従来モデルより効率を高め、GWPの低い次世代冷媒のR513A(GWP=573)を採用した。優れた省エネ性に加え、対応温度帯を出湯温度85度Cまで高め、高温循環加熱が可能。同社は産業分野での省エネ提案で訴求する。

 業務用HPの提案では、2017(平成29)年度省エネ大賞を受賞した透析熱回収HPシステム「スマートEシステム」を透析病院の運営上での省エネ・省コスト製品として前面に出す。同システムは加熱された透析液排水の熱をHPで回収し、原水側の加温に有効活用することができる。「プロセスヒートポンプ」「スマートEシステム」共に、従来加熱・加温時に使用していた電気ヒーターやボイラーより省エネを実現する機能・性能を有している。 

 さらに民生分野への新製品として、同社は24年度中に発売を予定する小型水熱源HP給湯器も参考展示する。同給湯器は循環加温HPの原理を応用し、循環ポンプ一体型の小型ユニットで分散設置が可能な製品。「水熱源による空調・給湯システムを導入している施設の水熱源系統に組み込むことで、トイレの手洗い系統での温水加温の省エネに貢献する」(柴社長)。

 水熱源HPによる給湯は電気温水器による給湯より高効率で、冷房時であれば、系統の熱源水から熱回収が可能。高層階建築物への設置時には、2フロアに1台の割合で小型水熱源HP給湯器を分散設置することで、出湯位置から極力近い位置で給湯循環を行う。これにより配管放熱ロスやポンプ動力低減を図る熱源水の循環系統を構築できる。トイレの温水給湯時の省エネ効果を引き出せるという。

 同HPはレジオネラ属菌対策となる60度Cまで昇温が可能。柴社長は「約1045度Cまでの熱源水温度域での運転に適している。地中熱等の再エネ熱にも対応可能。業務用エコキュートとは異なり、貯湯タンクレスでの運用が可能。温水循環ポンプの運転時間の削減にも寄与する」と話しており、ゼネラルヒートポンプ工業は今春以降の新たな需要に期待を込め、自社ブース内で実機を展示する。

 さらに同社はHP等の運転データをクラウドで自動集計し、パソコンやスマートフォン等のウェブ画面上で簡単に確認できるクラウド型遠隔監視システム「ZQクラウド」や、独自開発の熱源制御システム、ZEB制御盤といった計装商品も自社開発で商品化している。昨年、これらの計装商品を統合ブランド「ZEOS(ゼオス)」(※登録商標)としてリブランディングした。HPと共に自社の強みと位置付ける計装技術についても「お施主様やESCO事業者様等をご支援できる技術として周知を図りたい」(柴社長)としている。