地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。
2025/9/10
空調タイムス社 2025年9月10日(6面)
<記事原稿> 多方面でHP開発に成果
再エネ熱対応し低GWPのR454B採用 85℃出湯のプロセス用や透析熱回収も
公益社団法人日本冷凍空調学会(冷空学会)の法人会員であるゼネラルヒートポンプ工業(略称=ZQ。社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14)は、業務用・産業用分野で多種多様なヒートポンプ(HP)を展開している。この10年ほどに限っても、様々な分野のHPを開発・進化させ、世に送り出している。冷空学会の活動にも積極的に参加しており、年次大会などで度々開発成果を披露している。2024・25年度の調査研究プロジェクト「カーボンニュートラルに向けた先進熱交換技術に関する調査研究」にも参画し、最新の魏ゆつ開発動向を注視している。
この10年ほどの技術成果の一つとして特筆されるのが、地中熱や地下水熱、温泉熱等の再生可能エネルギー熱や、排熱にも対応する水冷式HPチラー「ZQS(ゼットキュースーパー)」だ。2022年に発売したもので、今年度の冷空学会の年次大会でも、12日に「再生可能な熱エネルギーを利用し、地球環境にやさしい冷媒を採用したヒートポンプの開発 低GWP冷媒を採用したヒートポンプチラー」と題して、同社社長の柴芳郎氏と再生可能エネルギー研究所所長の渡邉澂雄氏が紹介する。同製品は、再エネ熱を熱源に利用できると共に、低GWP冷媒のR454B(GWP=466,A2L<微燃・低毒>)を採用し、環境性に優れている。また能力も優れ、R407C採用の従来機に比べ、最大冷却能力は54%、冷却COPは29%向上し、また最大加熱能力は42%、加熱COPは18%向上した。特筆されるのが、R410AとR454Bは同じ冷凍機油を採用していること。そのため、例えば漏洩対策等がまずはR410A機種を導入しておき、その後、R454Bにドロップインするといった形で容易に冷媒転換が可能。
今年3月末時点の同製品の納入台数実績は合計44台。そのうちR454B機種が19台、R410A機種は25台。R454B機種は、昨年竣工し、Nearly ZEBを達成した福岡県の八女市庁舎が第一号案件。またR410A機種の中には、モンゴル・ウランバートルの小学校への導入実績もある。これは、冬期に極寒の気候に見舞わられる同国では、石炭ボイラによる大気汚染が深刻なため、地中熱を活用して大気汚染を抑制する試み。環境省の実証事業に採択されて導入に至った。同社はウランバートル市とMOU契約を締結し、地中熱・太陽熱を熱源としたZQSを導入。地中熱の熱源は、深度120mのボアホール64本に挿入したダブルUチューブ。純粋な日本の地中熱技術が同国に導入されたのは初という。今年3月に竣工し、現在、問題なく稼働している。
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産業用HPでも大きな成果を得ている。契機は2012年、柴氏が冷空学会の年次大会で初めて洗浄工程用HPを発表したことに遡る。16年には、省エネを促進する国際的な枠組みであるIPEEC(国際省エネ協力パートナーシップ)が、最高機関である政策会議の場で第一回国際トップテンリストを公表し、そこに同社の洗浄工程HPが選定された。これは、同社とアイシン・エィ・ダブリュ(現アイシン)、中部電力の3社による発表を受けて受賞したもの。アイシン・エィ・ダブリュの工場では、切削工程の冷却用途と温水の加熱用途に約120台が採用されており、「産業用HPとしては国内でも他に例のない規模」(渡邉氏)という。22年には出口温度を従来の70度Cから85度Cまで高める技術開発を行い低GWP冷媒のR513A(GWP=573、A1
<不燃・低毒>)も採用。24年1月にプロセスHP「HyPROHP」の名称で販売を開始した。工場や研究所といった施設で、数台の導入実績が出てきている。冷空学会がこのほど編集した「日本冷凍史2025」にも掲載されている。
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人口透析治療の分野でも、画期的なHPシステムをして「透析熱回収ヒートポンプシステム smart E System」を開発した。これはZQとウォーターテクノカサイ、日機装が共同開発したシステムで、透析廃液とRO濃縮水からの熱回収で、大幅な省エネを実現する。平成29年省エネ大賞で省エネセンター会長賞を受賞したほか、令和3年度中部科学技術センター顕彰の「振興賞」、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(最高賞)も受賞するなど、各方面から高い評価を得ている。現在、透析熱回収HPシステム「ZQD-2000)」として市場展開しており、既に30件ほどの導入実績がある。また、ZQDの機能のうち、RO濃縮水の熱回収に特化した「ZQRシリーズ(ZQR-50)」も開発した。同製品はZQDに比べて施工費用を削減できる。
近年、同社はクラウド上のデータからリアルタイムで運転状況を見える化する「ZQクラウド」の提供を始めている。透析病院向けに提供を始めたもので、熱回収HPによる電力削減状況やSCOPの推移を確認できる。今後は一般空調分野にも導入していく考え。
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2020年度から25年度までの研究開発において、同社は「新あいち創造研究開発補助金事業」を大いに活用した。21年度を除く計5回で採択を受けた。開発成果は、今年6月に中部国際展示場で開催された「AXIA EXPO 2025 新あいち創造研究開発展」で披露した。
同事業では20年度、再エネ熱利用水冷式HPの大容量化・高効率化及びR454Bを採用し、「ZQS」を開発。22年度には前述した産業用HPにおいて、85度Cに対応すると共にR513Aを採用し、「HyPROHP」として結実した。23年度は、RO水を室外熱交換器に噴霧することでアルミニウムフィンの腐食とスケール付着の問題を解決した空冷式HPを開発。冷媒はR454Bを採用しており、今年度70kw級の「ZQS空冷タイプ」として商品化予定。24年度は、冷媒漏洩を探知するAIを搭載すると共に、再エネ熱を熱源として利用可能で、R454Bを採用した空冷・水冷式高効率HPチラーを開発。今年度、「ZQS空冷・水冷タイプ」をして商品化予定。25年度は、冷媒漏洩探知AIを搭載し、再エネ熱を熱源に利用でき、R32を採用した空冷・水冷式高効率ビル用マルチエアコンHPを開発する。これも今年度、「ZQS空冷・水冷タイプ」として商品化を予定する。