地中熱・地下水熱・温泉排湯・空気などの“再生可能エネルギー熱”を熱源としたヒートポンプ製品で「持続可能な社会の実現」を目指します。
2026/1
空調タイムス社 2026年1月21日(6面)
<記事原稿>
環境デザイン追従した新デザインモデル
「未来のヒートポンプ」を提案 低GWP冷媒機種や初披露事例も紹介
地中熱や地下水熱といった再エネ熱や、工場廃熱・温泉排熱・透析排熱等の未利用熱を熱源とする高効率なヒートポンプ(HP)メーカーとして、全国に数多くの実績を有しているゼネラルヒートポンプ工業(略称=ZQ。社長=柴芳郎氏、本社・愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14)。同社は「ENEX2026」に地中熱利用促進協会の共同ブースに最も大きい規模で出展し、環境デザインを追求したHPの新デザインモデルを初披露する。「未来のヒートポンプ」をコンセプトにしたもので、次世代のHPデザインを提案する。また、低GWP冷媒に対応した再エネ熱・排熱利用対応HPチラーや、地中熱対応ビル用マルチエアコン、プロセスHPも紹介する。加えて、パネルで8件の導入事例を紹介するほか、熱源制御・監視システム「ZEOS(ゼオス)」のモニターも展示。ZEOSは、地中熱システム導入施設でリアルタイムの運転状況をアイソメ図で見える化した画像のほか、クラウドを通して運転レポートや毎月の消費電力等を提供する「ZQクラウド」の画面も展示する。
今回、低GWP冷媒対応機として、R410Aと、R410A代替の低GWP冷媒であるR454B(A2L<微燃>、GWP=466)を選択可能な再エネ熱対応の水冷式HPチラー「ZQS(ゼットキュースーパー)」シリーズを紹介する。ZQSは今後、「R454Bを採用したタイプをメインに販売していく」と同社の谷藤浩二常務。また、R407AやR134aを使用している水冷式・空冷式のHPチラー「ZQH(ゼットキューハイパー)」シリーズも、今後、低GWP冷媒モデルを発売する。地中熱対応の水冷式ビル用マルチ「ZP(ゼットピー)シリーズ」も、これまではR410Aを採用してきたが、R32機種を来年度は導入予定。指定製品制度では水冷式ビル用マルチに対して、2027年度にGWP750の目標値が設定されており、規制に先立ち対応を進める。加えて、85℃までに出湯が可能な産業用プロセスHP「HyPROHP(ハイプロ)」も、低GWP冷媒のR513A(AI<不燃>、GWP=573)を採用している。再エネ熱対応の水熱源タイプで、ボイラや電気ヒーターからHPへ代替することで、省エネ・省CO2を実現する。このほか、人工透析治療分野で使用する「透析熱回収ヒートポンプシステムSmart E System」も紹介する。
また、8件の事例紹介のパネルのうち、2件が初披露となる。そのうち1件は、2022年に竣工した池田煖房工業の札幌市の新社屋。寒冷地において一次エネルギー消費量の104%削減を達成して『ZEB』を実現。地中熱利用の水冷ビル用マルチ「ZPシリーズ」が採用された。もう一件が、23年に竣工した岩手県軽米町のかるまい文化交流センター「宇漢米(うかめ)館」。HPチラー「ZQH」が約200kw採用された大規模事例であり、施設はZEB Readyを達成している。
このほか紹介する事例は、北海道の「国立アイヌ民族博物館」(ウポポイ<民族共生象徴空間>)での地中熱及び地下水利用(20年竣工)、山形県の廃棄物処理場「アシスト」での処理水からの排熱利用(19年竣工)、令和7年度省エネ大賞を受賞した静岡県浜松市の常盤工業の本社ビル「ときポート」での地下水熱利用(21年竣工)、佐賀県の玉浜町ハウスみかん栽培施設での地中熱利用(22年竣工)、佐賀県の東よか干潟ビジネスセンター「ひがさす」での地中熱利用(20年竣工)、沖縄県竹富島のリゾート「星のや竹富島」での海水熱利用(23年設置)。
今回のブースでは初めて、工場廃熱と地中熱を併用した青森県平内町の事例のパンプレットを配布する。これは、エヌ・シー・コーポレーションの「青森第一工場」と、隣接するA&Tひらないアグリ「ひらない圃場」での熱循環の事例。竣工は23年。この工場では、貝殻からカルシウムを製造している。その工程で排出される排熱と、地中熱を熱源としたHPにより、農業ハウスに熱供給を行っている。ZQは排熱と地中熱を熱源とする「ZQS」を1台ずつ導入。この工場では、工場廃熱のカスケード利用を行う計画。工場排熱の直接利用によるハウス加温(50℃)を行った後、HPの熱源として利用(40~30℃)し、更に融雪利用(30~20℃)も行う。地中熱は通年ハウス内の冷暖房を行う計画。更に、工場排熱の熱量が大きい場合は地中の温度回復にも利用する。
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ZQには、地中熱を始めとする再エネ・排熱利用HPについて、多くの引き合いが寄せられている。背景には、カーボンニュートラルに向けた手段を探す意識の高まりがあると見られる。ただ足元の建設業界では、物価高や人手不足の影響が深刻化し、物件の延期や中止が頻発している。そうした中では、環境性能ばかりではなく、コスト面でもいかにメリットを出せるかが重要になるため、「地中熱のみではなく、排熱も絡めて複合的な提案を進めている」と営業部長の内山貴紀氏は話す。こうした姿勢は、地中熱単独での補助金がなくなった現在、より重要度が増している。
なお、地中熱利用促進協会は昨年末、ホームページで「実績シート」の公表件数を増やした。ZQが手掛けた案件としては、前述した、かるまい文化交流センターのほか、長野県上田市の上田市庁舎(21年竣工)、仙台市の塚田電気工業新社屋(23年竣工)のデータが公開されている。